連載コラム「株の始め方」
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- 第18回
株の確定申告どうやるの?<後編>
確定申告の方法は?(申告書の書き方)
申告した方が有利?不利?
【確定申告のやり方】
書類での申告
確定申告をする場合、書類は最寄りの税務署でもらえますし、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。必要な書類は、確定申告書B、申告書第三表(分離課税用)、株式等にかかる譲渡所得金額の計算明細書、特定口座を開設している場合は金融商品取引業者(証券会社)から送られてくる「年間取引報告書」や源泉徴収票などです。詳しくは、税務署の窓口で問い合わせてください。また、確定申告が近くなると相談会や受付もありますので利用されるといいでしょう。また、国税庁のホームページには「税務相談チャットボット」や「タックスアンサー(よくある質問)」が常設で用意されていますし、「国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)」での電話での相談もできるようです。
e-Taxでの申告
e-Tax(オンラインによる確定申告)を利用すると、メンテナンス時間を除き、24時間、スマートフォンやパソコンなどからも申告することができます。マイナンバーカードを利用すると簡単に本人確認が出来、スムースにオンライン申告ができます。
e-Taxで確定申告する場合、あらかじめ、納税用確認番号の確認、マイナンバーカードの用意、パソコン・スマートフォンのアプリの事前更新など準備作業を行うことをお薦めします。事前に、国税庁の「確定申告特集」や「e-Tax」のサイトを確認すると良いでしょう。
【特定口座の「源泉徴収あり」の場合申告はしてもしなくてもいい?】
さて、特定口座の「源泉徴収あり」を利用している場合、申告したほうがいいのかどうかを見ていきましょう。
申告した方が有利な場合
まず、株式の売却で譲渡損が出ている場合は、損失を翌年以降に繰越すためには確定申告が必要です。また、複数の金融商品取引業者の口座で取引をしている場合に、譲渡益が出ている口座があれば、譲渡損が出ている口座と損益を通算することで税額を減らすことができます。損益通算して損失が出ているなら、損失の繰越も可能です。このように、一般口座や他の金融商品取引業者の特定口座との損益を通算する場合は確定申告が必要です。
最近では専業主婦が株取引で利益を上げている例も多くなりました。他に所得がない専業主婦の場合、株の利益から基礎控除などを差し引いて税額を計算できますので、申告により所得税の還付を受けることが可能です。
申告すると不利な場合
しかし、専業主婦で譲渡益が48万円以上ある場合(2024年7月現在)、夫の所得税を計算するときの「配偶者控除」の適用がなくなり、夫にかかる税金が増えることになります。この場合は、源泉徴収された金額と、申告した場合の税金の金額とを比較してみる必要があります。
また、譲渡益が出た場合、その金額が合計所得金額に合算され、扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除、住宅ローン控除などの適用を受けることができなくなってしまう可能性もあります。なお、「損失の繰越控除」で、各種控除の適用要件を判断する場合の合計所得金額は、繰越控除をする前の金額で計算されます。特定口座(源泉徴収あり)で申告をしなければ、課税関係は終了し、合計所得金額には含まれません。
申告する・しない、どっちが得か考えよう
このように、「特定口座(源泉徴収あり)」は、申告するかしないかは選択することができますので、どちらが有利になるかは総合的に判断した方がいいでしょう。
[コラム執筆者]
時川郁(ときがわふみ)ファイナンシャルプランナー(CFP)
証券会社に勤務後、FPとして活動。運用・投資に関するiDeCoや企業型DC、NISAなどのセミナーを中心に、若者やリタイアメント世代向けのライフプランセミナー、個別相談業務、執筆などを行っている。
「人生100年時代を豊かに生きるための手助けを!」との思いから、2016年に合同会社リテラビットを設立し、確定拠出年金の導入コンサル、導入支援事業を始める。趣味はスポーツ観戦とゴルフ、ドライブ、おいしいものを食べに行くこと。
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