連載コラム「株の始め方」
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- 第9回
信用取引の始め方(初級編)
・銘柄の選び方
・成功させるコツ
ここまで数回に分けて「信用取引」についての基礎知識を学びました。とは言ってもなかなかピンとこないと思います。今回は、信用取引〜実践編〜としてお話ししていきます。前回よりもより実践的な内容でお届けします。
【信用取引の始め方】
信用取引を始めるには、現在金融商品取引業者(証券会社)で現物株の取引をされている場合も、信用取引のための口座を開設する必要があります。申し込みに当たっては、説明書・信用取引口座開設基準・取扱規定などを充分確認しておくことが必要です。信用取引は現物取引と比べてリスクが大きいため、誰でも取引ができるわけではなく、株取引の経験年数や信用取引の知識、資産額などの審査が実施されます。トレジャーネットの場合、審査に通れば、メールでお知らせが来ます。信用口座が開設されると、新たに信用取引の取引メニューが追加され信用取引が出来るようになります。審査はWEBで行われますので、最短で半日〜1日で口座が開設され、信用保証金を差し入れて準備完了です。
【信用取引ができる銘柄】
信用取引初心者の場合、銘柄はどう選んでいったらいいのか考えてみましょう。
まず、信用取引ができる銘柄かどうかを確認することです。上場している銘柄すべてが取引できるわけではありません。信用買いは「信用銘柄」「貸借銘柄」のどちらでも可能ですが、信用売りは「貸借銘柄」のみとなります。これは、新聞の株式欄や四季報などで簡単に調べることができます。
【つなぎ売り(信用新規売り)とは?】
さあ、いよいよ信用取引開始です。
まず、現物株で保有している銘柄のリスクヘッジに信用取引を利用することについて考えてみましょう。たとえば、値上がりを期待して買った株が残念ながら値下がり傾向にある場合、思い切って損切りをするか保有し続けるか考えるときのもう一つの選択肢として、信用取引があります。現物株だけの場合は、値下がりすればその分損となりますが、「同じ銘柄を同じ株数信用新規売り」をしておけば、その後さらに値下がりした時点で買い戻すことにより利益が出ますので、現物株の損を埋めることができます。ただし、信用新規売りをしたあと株価が上昇に転じたら、早めに手仕舞うことを考えましょう。信用新規売りの場合は、見込みがはずれると損失が「青天井」となりますので特に注意が必要です。
【日経平均を売る、TOPIXを売る】
また、個別銘柄ではなく市場全体の値動きを信用で取引する方法もあります。東京証券取引所プライム市場銘柄の代表的な225の銘柄の値動きである日経225や東証全体の値動きであるTOPIXに連動するETF(株価指数連動型上場投資信託)を信用売りすることにより、保有株のリスクヘッジとなることもあります。
次に、信用取引ならではの戦略から銘柄を選ぶ方法をご紹介しましょう。
【チャートの活用】
信用取引は、さまざまな相場状況で利益を取るチャンスがありますので、まずは現在の株価のトレンドが上昇傾向にあるか下落傾向なのかを調べることが大切です。それをみるにはチャートが有効です。チャートは株価の値動きを線や棒などの図で表したもので、理解すれば数字を追うより視覚的に捉えることができ、市場の心理状態をつかむきっかけにもなりえます。
ボックス相場銘柄
株の中には銘柄特有の動きをするものがあります。たとえば、上値抵抗線(高値と高値を結んだライン)と、下値支持線(安値と安値を結んだライン)の間を行ったり来たりしているような「ボックス相場」を形成している銘柄は、初心者向きだと言えます。ボックスの下限で信用買いをしておき、上限に来たとき反対売買で利益を確定させ、今度は信用売りをします。再び株価が下がって下限にきたとき買い戻すことにより利益を得られます。これを繰り返すことで利益を取ることができるのです。ただし、株価がボックス圏から飛び出してボックス相場が崩れたと判断される場合は一度休んで、様子をみることが大切です。
出来高の多い銘柄を選ぼう
他にも、機動的な売買ができるように出来高の多い銘柄を選ぶこと、リスクが大きくなる可能性のある信用規制銘柄になっていないか調べることなどが大切です。
極端に安い銘柄はリスクが高い
また、株価の安い銘柄は、株価の高い銘柄に比べて一日の値動き率が大きいため、売り買い、損切りなどの瞬時の判断が要求されます。グズグズしているうちにあっという間に2倍3倍になってしまう可能性もありますので初心者は避けた方が無難でしょう。
【信用取引には思い切りも必要】
信用取引は、少ない資金でも大きな取引ができる、下落相場でも儲けるチャンスがあるなどのメリットがある反面、決済の期日がある、追証が発生したり金利などの費用がかかるなど、大きな損失を出す可能性もあります。特に、含み損の状態で長く持ち続けるのは危険です。余裕を持ったポジション、短期での取引を基本にして、どの位の利益を狙うのか、どこで損切りをするのか、追証が発生した場合の対処方法など、自分なりのルールを決めることが大切です。そして、損切りすべきときは損切りできる思い切りも必要だと思います。
[コラム執筆者]
時川郁(ときがわふみ)ファイナンシャルプランナー(CFP)
証券会社に勤務後、FPとして活動。運用・投資に関するiDeCoや企業型DC、NISAなどのセミナーを中心に、若者やリタイアメント世代向けのライフプランセミナー、個別相談業務、執筆などを行っている。
「人生100年時代を豊かに生きるための手助けを!」との思いから、2016年に合同会社リテラビットを設立し、確定拠出年金の導入コンサル、導入支援事業を始める。趣味はスポーツ観戦とゴルフ、ドライブ、おいしいものを食べに行くこと。
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