連載コラム「株の始め方」
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- 第7回
ネットで株式取引をやってみよう(前編)
委託保証金とは?
前回は、ネットでの株の注文方法や「約定(株の売買が成立すること)」のしくみについてお話しました。今回は一歩進んで信用取引についてお話したいと思います。信用取引は「難しい、怖い」というイメージをもたれている方も多いようですが、難しいと思われる言葉の意味を理解することができれば、始めやすくなると思います。
今回は、「委託保証金」「保証金維持率」「追加保証金(追証)」について、もう少し詳しくご説明したいと思います。
【委託保証金】
信用取引は、資金や株を持ってなくても、資金や株券を借りて売買ができる取引です。ですから当然、“本人の信用”を証明するものとして、金融商品取引業者(証券会社)に現金や株券などの代用有価証券を担保として差し出す必要があります。これを「委託保証金」といいます。
担保の評価額の計算は、現金はそのまま、代用有価証券は換算率(掛目)によって計算されます。トレジャーネットの場合(令和6年6月28日現在)、上場株券80%以下と決められています。たとえば、1,000円のA社株1,000株を担保とする場合、保証金とみなされるのは1,000円×1,000株×80%=80万円となります。
また、担保は“信用取引する代金の何%”を必要とする決まりがあり、これを「委託保証金率」と言います。法定で“「委託保証金率」30%以上かつ「委託保証金」30万円以上”と決められており、トレジャーネットでも同様となっています。(令和6年6月28日現在)
たとえば、60万円の信用取引をしようと思えば、60万円の30%つまり18万円が委託保証金となりますが、かつ30万円以上と決まっていますので、最低30万円の保証金を準備する必要があります。
【委託保証金維持率・追証(おいしょう)】
委託保証金維持率
信用取引をしている株の値動きによって計算上損失が出ると、その損失額が委託保証金から差し引かれます。また、担保としている株券の価格が下がると、委託保証金の担保価値が下がります。このように担保が不足した場合に追加の担保を入れる必要(追証)が生じます。この時の“信用取引している金額に対する委託保証金の割合”を「委託保証金維持率」といい、決められた「委託保証金最低維持率」を割り込むと、追証が発生し、翌々日の正午までに現金や代用有価証券を差し入れなければ取引を続けることができなくなります。トレジャーネットでは25%となっています。(令和6年6月2028日現在)
では、追証はどのようにして発生するのでしょうか。
追証(追加保証金)
たとえば、50万円の委託保証金で1,600円の株を1,000株、つまり160万円分の信用買いをしたとします(50万円の委託保証金があるので160万円の30%である48万円かつ30万円以上は満たしています)。その後残念ながら株価が240円(15%)値下がりし、1,360円となってしまいました。この時の評価損は24万円です。その24万円が委託保証金から差し引かれますので、委託保証金は50万円−24万円=26万円となってしまいます。トレジャーネットの委託保証金維持率は25%ですから、160万円分の信用買いをしていると40万円は保証金として最低必要だという事になり、40万円−26万円の14万円をすぐに追加で入金しなくてはいけません(追証)。14万円を入金すると40万円はクリアしますが、その後も株価が下がればまた評価損が出て追証が発生することになります。
また、信用で取引している株自体は益が出ているのに、委託保証金の担保にしている株が値下がりし担保価値が目減りし、維持率を割り込んだ場合も追証が発生します。
追証を防ぐには、委託保証金の現金の割合を多くするのと同時に、信用枠をギリギリいっぱいまで使わずに余裕を持たせること、また、取引内容を毎日チェックする、長い間ズルズルと持ち続けないことが大切です。
[コラム執筆者]
時川郁(ときがわふみ)ファイナンシャルプランナー(CFP)
証券会社に勤務後、FPとして活動。運用・投資に関するiDeCoや企業型DC、NISAなどのセミナーを中心に、若者やリタイアメント世代向けのライフプランセミナー、個別相談業務、執筆などを行っている。
「人生100年時代を豊かに生きるための手助けを!」との思いから、2016年に合同会社リテラビットを設立し、確定拠出年金の導入コンサル、導入支援事業を始める。趣味はスポーツ観戦とゴルフ、ドライブ、おいしいものを食べに行くこと。
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